所有者不明の土地・不動産の対応方法
所有者不明の土地や不動産について、他人の土地や不動産であれば、基本的には無関係であるということになるでしょう。もっとも、所有者不明の土地が土砂の流出をするなどにより、自分の有する不動産に危害が及びそうな場合、本来であれば、その土地の所有者に、所有権に基づく妨害排除請求をするところですが、所有者不明の場合には、どのような手段をとるべきかが問題となります。まず考えられるのは、所有者の住所などがわからない場合のための公示送達(民事訴訟法110条1項)という制度を活用することです。訴えを提起し、訴訟が係属するには、訴状を裁判所に提出し、被告に送達をする必要がありますが、被告の住所などがわからない場合に用いられる送達の方法が公示送達というものです。
しかし、公示送達により訴訟を係属させ、勝訴判決を得ても、実際に妨害排除をする場面では、費用を立て替えなければならないという問題もあります。そこで、不在者財産の管理人選任(民法25条1項)をすることが考えられます。もっとも、不在者財産の管理人選任は、利害関係人または検察官が家庭裁判所に請求することで行われるところ、ここでいう「利害関係人」とは、不在者の債権者,相続資格者等,財産の放置に対して法律上の利害関係を有する者をいうとされ、単なる隣人というだけでは、「利害関係人」に当たるとはいいがたいことになります。そこで、前述のような、所有権に基づく妨害排除請求権により法律上の利害関係を有すると主張していくことになるでしょう。
特に、不在者財産の管理人選任を家庭裁判所に請求するには、前述のように、専門的な主張をしていく必要があります。また、自分の置かれている具体的な状況によっては、ほかにより適切な方法があることも考えられます。したがって、弁護士に相談などをするのが安全といえるでしょう。
司法書士 山田猛司事務所では、東京都調布市を中心に、東京都・関東一円にお住まいの皆様の「遺産承継」「不動産登記」に関するお悩みに真摯に向き合っています。制度の説明や、手続きの代理などを通じて、皆様の疑問や不安が1日でも早くなくなりますようご支援させていただきます。お困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。