遺産相続の手続き完了までの期間は?
■相続手続きとは
人が亡くなると、相続が発生します。そこから、一連の相続手続きが始まっていきます。
相続においては、相続人(故人の家族など)が、被相続人(故人)の財産を引き継ぐという形でなされます。しかし、単に財産を引き継ぐといっても、何をすればよいのかイメージが湧かない方も多いでしょう。そこで、遺産相続の手続きにはどのようなものがあるのか、そして、それらはどのような順序で進めていけばよいのかといったことについて詳しく解説していきます。さらに、手続きの中には、期限が定められており、限られた時間の中で、大きな決断を迫られることもあります。いざ相続手続きをしなければならなくなった時に困らないよう、今のうちからしっかりと流れを確認しておきましょう。
●相続が発生したら何をすればよいのか
被相続人が亡くなり、相続が開始されると、様々な手続きを同時並行で行うことがしばしばあります。その例を以下に列挙しました。とても多いように見えますが、これでもまだ一部です。つまり、これだけ多くのことをやるには、流れをしっかりと把握しておく必要があるということです。時系列順に並べていますので、ぜひ手続きを進める際の参考にしてみてください。
・死亡診断書の取得
・死亡届の提出
・葬儀
・年金受給停止の手続き
・各種、資格喪失届の提出
・世帯主変更届の提出
・金融機関への連絡
・遺言書の有無の確認
・遺言書の検認
・相続人や相続財産の調査
・遺産分割協議の開始
・相続放棄や限定承認
・所得税の準確定申告
・遺産分割協議書の作成
・相続税申告と納付手続き
・遺留分侵害額請求の手続き
●相続手続きに期限はあるのか
先ほど確認した通り、相続手続きには様々なものがあり、それぞれを同時並行でやらねばならないこともあります。そして、色々なことをやっているうちに、何かをやり忘れてしまったり、途中で放っておいたままになってしまったり、といったことも考えられます。ここでは、相続手続きの中でも、期限が定められていて、その期間内に必ずならなければならないものについて、取り上げます。
①相続放棄と限定承認
相続放棄と限定承認は、相続が開始されてから3か月以内に手続きを行う必要があります。どちらも、相続財産の中でマイナスの財産の割合が大きい場合に、検討すべき手段です。相続放棄は、プラス・マイナスに関わらず、全ての財産について相続しないことをいいます。また、限定承認は、プラスの限度でマイナスの財産も引き継ぐことをいいます。
②所得税の準確定申告
所得税の準確定申告は、相続発生から4か月以内に手続きを行う必要があります。準確定申告とは、故人の所得について、故人本人ではなく、相続人が代わりに行う確定申告のことをいいます。期限を過ぎてしまうと、税を加算されるというペナルティーがありますので、注意してください。
③相続税申告と納付手続き
相続税申告と納付手続きは、相続開始から10か月以内に手続きを行う必要があります。これも、期限を過ぎてしまうと、税を加算されるというペナルティーがあります。相続税の申告が必要なのは、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に限られます。つまり、遺産全体の総額から基礎控除額を引いて、残った金額があれば、申告が必要ということです。
④遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求は、相続があったことを知った日から1年以内に手続きを行う必要があります。遺留分とは、一部の相続人に認められた、最低限は相続できる相続分として確保された割合のことです。もし、自分の相続分が遺留分を下回っていれば、他の相続人に対して、その不足分を補うような金銭の支払いを求めることができます。
●相続に関するご相談は当事務所まで
司法書士 山田猛司事務所では、東京都調布市を中心に、東京都・関東一円にお住まいの皆様のお悩みに真摯に向き合っております。相続の手続きの流れや、それぞれの手続き内容に関して、ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。